掲載 2005年4月28日/最終更新 2005年4月28日
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| HP iPAQ rz1717 |
iPAQ hx4700 に引き続き、 rz1717 を 10 日間ほどお借りしましたので、rz1717 についても所感を記します。 hx4700 と同様、この 10 日間は、 iPAQ rz1717 をプライマリ Pocket PC として利用しました。
実は私はエントリクラスのモデルが好きなんですよ。 というのは、エントリクラスのモデルが安いからなんですね (なにしろ、ビンボーですので)。 Pocket PC が 25,000 円前後というのはかなり安いと思います。 特に私が購入した iPAQ h1920 や iPAQ h1937 は、台数限定で 19,800 円で販売されてましたが、本当に安かったと思います。
そういうわけで、rz1717 にもかなり期待していたのですが、 反面ちょっと変な期待もしていたのですよ。というのは、 アメリカの PC Magazine の「年間ワースト製品 -- 避けるべき 10 製品」 の PDA 部門で堂々ランクインしていますから。
中でも、以下のこき下ろしが圧巻です。
え〜、本当にそうなの?と記事を読んだときは思ったわけなのですが、 実際に試すことができたわけです。
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| フォントキャッシュ |
| PocketTweak でフォントキャッシュを 65536 に増やしました。 PocketTweak では他にもメニューのアニメーションのオンオフなどができて便利ですよ (宣伝です(^^;))。 |
何気に使い始めたのですが、 メニューのアニメーションなどをしないようにしてもシャキっとメニューが出ない。 なんとなくテロテロテロと出るわけです。
「こっ、これは!」と思い PocketTweak でフォントキャッシュサイズを調べてみるとフォントキャッシュサイズが 16384 バイトになっているではないですか。 ということで、この値を 65536 にしてソフトリセットしたところ、 パっとメニューが出るようになりました。 思うに 16384 ってのは英語版でのデフォルト値だと思うんですよね。 この値じゃ日本語フォントでは足りないでしょ、と思うのですよ。 どうして日本語版を出すときにもうちょっと増やしておこうと思わないのでしょう? 不思議です。
「凍りつくほど遅い」とこき下ろされた性能ですが、全然そんなことないです。 rz1717 は Samsung S3C2410 203MHz を CPU として採用しているのですが、 このプロセッサ、前機種の h1937 の CPU と同じモノなんです。で、 私としてはこのプロセッサのスピードは特に問題がないですね。 h1937 を購入したときの寸評 を見てみても「速いです〜」と書いてあるぐらいですし。むしろ Intel PXA270 624MHz の Axim X50v の方が体感的には遅いぐらいです。
最近 Pocket PC のキラーアプリになりつつある Betaplayer で XviD, hQVGA(240x176), 15fps ファイルを再生する場合でも、特に問題なく再生できます。
ということで、特に性能が必要なプログラムを動かすのでなければ 十分な性能が得られていると思います。
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| iPAQ エントリ機種比較 |
| 左から iPAQ h1920, rz1717, h4150。h1937 の外観はほとんど h1920 と一緒なので割愛(というかすでに手放してしまいました)。 ちなみに h4150 はエントリ機じゃないですね。 |
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| hx4700 との比較 |
| 左から iPAQ hx4700, rz1717。 こんなに大きさが違うんです! 小さいってことは持ち運んでも邪魔にならないってことで、 それだけでひとつの機能という気がします。 |
軽い(120g)のはナイスです。小さいのもナイスです。でも外観がね〜。 正直言ってカッコ悪いです。h1920 や h1937 はカッコ良かったんですけどね〜。 rz1717 ってことで型番の先頭が h じゃなく r になったのは多分 OEM 元が h1920 や h1937 とは違うんだと思うのですが、 その OEM 元のデザインが下手なんですかね〜。
まず四角張った何の変哲もないデザイン。今までの iPAQ とは大違いです。 次にいかにもプラスチックって感じの表面。 それとほとんどスペック上は違いがないけど、やっぱり h1920 よりも大きいんです。下の部分が丸くなっていないですしね。 大きいのに重さが同じなので見た目よりもずいぶん軽く感じて、 そのせいで安っぽい感じがするんですよね。
持つ喜びを感じたい人や、 さりげなく使って優越感を感じたい人は避けたほうが良いかもしれません。 そもそも安いですから仕方がない気もしますが、 h1937 とかなら優越感を感じられたんですけどね〜。
ディスプレイですが、まずは言わせてもらいます。 この液晶、タテヨコ間違ってついていますよ〜〜〜! いや、間違うはずがないので確信的なんだと思いますが、 この液晶は短辺方向の視野角が狭いタイプで、 横長用の液晶を縦に貼っているような感じです。
hx4700 の時の繰り返しになりますが、 人間の目は左右に離れてますので左右方向の視野角が狭いと ちょっと不都合が起こるのですよ。右目と左目とで見ている色が違ってくるのです。 すると右目と左目で見ているものが違うのに 無理に同一視しようとしているような葛藤が生まれます。 具体的にはなんかビカビカして見えるのです。 rz1717 も例外ではなく、 縦長で普通に使っている場合に、 灰色とかの中間色がビカビカして見えてしまいます。
最近では l'agenda の液晶が、Pocket PostPet の液晶を縦にして貼っていたということで rz1717 と同じような貼り方なのですが、 コスト削減もそういう削減の仕方は関心できません。
いや、良心的な見方をすれば、rz1717 は主に横長で使うように設計してあると読み取ることもできなくもないです。 でも、実際のところ Pocket PC をいつも横長で使うのはつらいと思うんですよね。
ということで、液晶の貼り方については減点項目です。
例によって液晶の貼り方の方向にまず目が行ってしまいましたが、 実は液晶の質そのものにも大きな疑問があります。
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| rz1717の液晶問題 |
| 上が rz1717 の液晶、下が h1920 の液晶。 同じ画像を Pocket IE でそれぞれに表示。 rz1717 では滑らかなグラデーションが形成できず、 色が急激に変化して表示されているように見えます。 |
いろいろな写真を rz1717 で表示してみると、どうも 65536 色出ていないように見えるのです。 例えば、左図は私が撮影した同一の画像を iPAQ rz1717(上) と iPAQ h1920(下)で Pocket IE で表示してみたところなのですが、 画面の明るさは抜きにしても、rz1717 ではグラデーションがうまく表現できないことがわかると思います (いや、 この画像じゃわかりにくいですね。写真の取り方や縮小のしかたがへたくそで済みません。 わかりにくいですが、rz1717 では急激に明るさが変わる部分があるんです。 本来グラデーションなのに明瞭な境界線が見えちゃうんです)。
それぞれ液晶の輝度は最大輝度となってます。 白の明るさがあまり変わらないのを確認してください。
グラデーションがうまく表現できない傾向は、 rz1717 では右から見るほどその傾向が強まるので、 上の画像は多少強調されているとは言えます。 とは言え、同じ画像を真正面から見ても rz1717 では、くっきりと色の境が見えてしまうのです。 同じ画像でも左斜め前から見るときちんとグラデーションが表現されるので、 液晶の貼り方は縦横以外もなんかおかしな小細工が施されているように見えます。
実は rz1717 の液晶は色がちょっと濃い目に見えるんですね。 もともと iPAQ h1920 にしろ h4150 にしろ、色がなんか薄っぽくて、 MiTAC の Mio 168 の液晶を見てから iPAQ の液晶を見ると物足りない気がしていたのですが、 iPAQ rz1717 の液晶は濃い目に表示してくれます。
でもそれはお金をかけて液晶の質を上げているのではなくて、 なんか小細工をして濃く見えるようにしているだけのようなのです。 先に述べたように rz1717 の液晶を左斜め前から見ると、 色が薄くなる代わりに問題の画像でもきっちりグラデーションがきれいに表示されるのですよ。 つまり、 色をたっぷり乗せるために液晶が本来向くべきではないほうを向いているように思えるのですよ。 その結果正面から見るとグラデーションがうまく表現できないのであれば、 スペックシートの表示色数には 65536 色と記載するべきでないのと思うのですがいかがでしょうか?
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| メモリ不足メッセージ |
| rz1717 ではメモリ不足メッセージがしばしば出ます。 この画面、メモリが不足していてキャプチャできませんでしたので、 デジカメ画像になりました。不鮮明ですみません。 |
Pocket IE で 250KB 以上の html ファイルを表示させようとすることが、 時々あるのですが、そうすると右写真のような画面に遭遇します。 いや〜、懐かしいですね〜、この画面! Windows CE 1.0 のときは良く見たのですが、 Palm-size PC や Pocket PC ではメモリが足りなくなると OS が勝手にアプリを停止させるのでトンと見かけなくなってました。 rz1717 でもアプリを勝手に停止させてはいるのですが、 それはそれとして右の画面が出ることも結構あります。 同じ Windows Mobile 2003 Second Edition を搭載している他の Pocket PC ではほとんど見たことがないことから、rz1717 の搭載メモリが少なすぎるから出るんじゃないかと思います。
ということで、インストールしていたプログラムの多くを、iPAQ File Store の方に移してメインメモリを空けてみました。メインメモリの Program Files に残ったファイルは 580KB 程度。 あ〜、それでも結構出ます。このメッセージ。
それよりもっと深刻な問題も出てしまいました。 私は「PocketGear 活用研究」の 「お定まり設定」に記しているように、 ニュースや天気予報サイトをモバイルのお気に入りとしてオフラインで閲覧しているのですが、 メモリが足りないせいか rz1717 ではオフラインでほとんど見られないのです。 いや〜、これは痛い!
RAM 32MB は特に少なくないと思っていたのでびっくりしてしまいました。 ということで、ちょっとまじめに比較をしてみました。 それぞれの仕様を拾い出して比較した表が以下です。
| 機種 | h1920 | h1937 | rz1717 | 備考 |
| OS | Windows CE 3.0 | Windows CE.Net 4.2 | Windows CE.Net 4.2 | |
| ソフトウェアセット | Pocket PC 2002 | Windows Mobile 2003 Pocket PC | Windows Mobile 2003 Second Edition Pocket PC | |
| プロセッサ | Intel PXA 255 200MHz | Samsung S3C2410 203MHz | Samsung S3C2410 203MHz | |
| RAM | 64MB | 64MB | 32MB | |
| うち使用可能RAM | 34MB | 56MB | 27MB | rz1717 は HP の Web には 14MB と書いてありますが、 何かの間違いでしょう。 |
| iPAQ File Store (Flash ROM) | n/a | n/a | 21MB | |
| サイズ | 70x13x113mm | 70x13x113mm | 70x13.4x114mm | |
| 重量 | 120g | 124g | 120g |
h1920 の内蔵 RAM がもともとは 64MB もあるのに、使用可能容量が 34MB とぐっと減ってしまうのは、h1920 の Flash ROM は NAND タイプで、 アクセス速度が遅いのでシステム初期化時に RAM に展開しているからです。 h1937 と rz1717 で数 MB ほど RAM が減っているのは、BIOS のような部分で使用しているものと思われます。
さて、rz1717 の使用可能 RAM ですが、h1920 よりは少ないことは少ないですが、 大きな差があるわけではありません。 でも h1920 ではメモリが足りなくて苦労した記憶はないんですよね〜。 rz1717 では 10 日しか使っていないのに、とても苦労しています。
私が徐々にメモリを必要とするようになってきているのかと思い、 テスト機として保存していた h1920 にメイン機環境を構築してみたのですが、 特に問題なく使えました。 う〜ん、何が rz1717 をここまで追い込んでいるのでしょう?
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| 初期使用メモリ比較 |
| 左から iPAQ h1920, rz1717, h4150。 ソフトリセット直後の使用メモリがすでに違うのです。 |
そこで、ソフトリセット直後のプログラム実行用メモリの使用容量も調べてみました。 条件をそろえるため、各機種ともスタートアップフォルダには usbcnect.lnk と poutlook.lnk だけが置かれるようにしました。
右の写真で各 iPAQ が表示している画面が、 ソフトリセット直後のメモリ使用量です。 h1920 が 2.77MB、h4150 が 7.92MB、rz1717 が 8.10MB 使用しています。 h1920 がずば抜けて少ないことがわかります。 逆に言うと Windows CE.Net 4.2 ベースの h4150 や rz1717 ではかなり 多くのメモリを最初から消費していることがわかります。
そう言えば Windows CE.Net 4.2 (というか Windows Mobile 2003 Pocket PC)では、 64MB クラスのメモリを搭載している Pocket PC しか利用してきていなかったことを思い出しました。 内蔵メモリが 32MB もあれば十分だったのは、Windows CE 3.0 (というか Pocket PC 2002)までの時代のことのようです。
そうそう、rz1717 は Flash ROM が 21MB も利用できて便利だな〜、と思っていたのですが、 上の比較表を見ると h1937 の 56MB の方がトータルで自由なメモリが多いんですね。 ありゃりゃ、って感じです。 h1920 や h1937 が 1900 番台なのに対して、rz1717 が 1700 番台で数字が小さいのは下位機種だという意味なのね、 と納得してしまいました。
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| イコライザ比較 | |
| 左が rz1717 のイコライザ、右が h1920(や h1937 や h4150) のイコライザ。 rz1717 は低音しか調整できませんが、h1920 などは低音と高音の調整ができます。 | |
この 10 日間は rz1717 をミュージックプレーヤとしても使用してきました。 若干高音が抑え気味の気もしますが、そこそこいい音がしていると思います。
イコライザで高音を持ち上げることができないので、 高音がキンキン出るのが好きな場合は物足りないと思います。
ちなみに、h1920/h1937/h4150 では高音の持ち上げもできましたので、 このあたりは内蔵しているアンプがコスト削減のため変わったということなのでしょう。
どちらが音が良いですか?といわれたら、h1920 や h4150 の方が良いですね〜 (h1937 は手放してしまったのですが h1920 や h4150 と同じ傾向だったと思います)。 低音から高音まできっちり再生できており、 ベースの音の輪郭もきっちり再現できている感じです。 とは言え、rz1717 も結構良いと思います。
ナビゲーションパッドは物理的なパッドで、いい感じです。 hx4700 よりも 10 倍いいですね。 スタイラスは hx4700 と同じで持ちやすくていいです。 電源スイッチは hx4700 と同じ場所ですがスイッチの面積が大きく、 ずっと押しやすいです。 バッテリは特に不満はありませんでした。 ただしバッテリのもちに対する感想は人それぞれだと思います。
ちょっとびっくりしたのが、Windows Mobile 2003 から導入された Pictures が省かれていることです。 同様のプログラム HP Image Zone がプリインストールされているので省かれたんでしょうね。 それほど使ってもいないのですが、ちょっと寂しいです。
バックライトは細かく調整可能で、かなり暗くすることもできます。 自分はたいてい点灯している中で一番暗い設定で利用するのですが、 rz1717 だとちょっと暗すぎになります。
通常左側面にある録音ボタンがありません。 このボタン、録音ボタンとしては使いませんがないと困るんですよね〜。 電車で立ったままオフライン Web をブラウズするときに良く使うのですよ。 Software Action Control を割り当てて、プッシュ→スクロール、ダブルプッシュ→ページスクロール、 トリプルプッシュ→リンク先へ飛ぶ、のように利用しています。
h4150 を持っている私としてはすでに購入する対象ではなくなっているのですが、 では、人に勧められるか?と言えば残念ながらノーです。 絶対的に少ないメモリとおかしな付け方の液晶が勧められない要因です。 以下に良い点/良くない点をまとめておきましょう。
良い点
良くない点
25,000円という価格がすでに利益をほとんど出していないのはわかります。 できるだけコストを削減したいのもわかります。 でもどこを削るか、 どこを残すかが良いモデルを生み出すセンスだと思うんですよね〜。
たとえば h1920 や h1937 ではシリアルインタフェースを削りましたが、 rz1717 では何気にシリアルインタフェースがサポートされています。 こういうところを見て思うのは、rz1717 がもともと一般消費者(コンシューマ)に向けて開発されて物ではなく、 特定の大顧客向け/業種向けに開発したモデルをそのままコンシューマ市場に 出したのではないかということです。もしそうであれば、 メモリが足りないことも(特定の業種アプリが動けば良い)、液晶の貼り方や質も、 シリアルポートが削られていないことも納得できてしまいます。
しかし人に勧められるエントリモデルがほとんどないってことは、Pocket PC の裾野を広げるという観点から見るとさびしい状況ですね。 Windows Mobile 2003 Second Edition のエントリ機は他社を含めても rz1717 しかないわけですので、今後もなんとかがんばってほしいです。
個人的には h1937 を Windows Mobile 2003 Second Edition にリニューアル して出してくれるだけで良いんですけどね〜。 それだとあんまりコストを削減できないってことなんでしょうかね〜。
さて、hx4700, rz1717 と iPAQ に対して比較的厳しい評価をしてしまいましたが、 これは逆に私の iPAQ への愛着の表れと受け取っていただきたいところです。 iPAQ h3630 に始まり、(次に使っていた PocketGear を除いて) h1920, h1937, h4150 と、メインで使っている Pocket PC はすべて iPAQ なのですから。
そういう意味でも HP にはいいものを出し続けてほしいと思っています。 実は近々出そうな iPAQ で、期待している機種があるのですよ。 それは、GSM 携帯と一体となった上に Bluetooth や GPS までついている iPAQ Mobile Messenger hw6500 です。 携帯電話部を W-CDMA に変更してぜひ日本でも販売してほしいものです。